【笹原真央の最新作】
恋華夢想神奇譚 第二章:信仰の成れの果てに(後編)
(前回までのあらすじ)
神を顕現させようとして失敗続きの時雅は、やっと神の顕現に成功するが…神と思われる少女には記憶が無い不具合があった。
とりあえず、少女は桜華と名乗ることにするが神だと云う実感は湧かない。その後、桜華が助けて傷の癒えた化け猫の乃威と杏璃と共に皆は京の驚異となりつつあった金慈の任侠屋敷へと赴き協力して事態を収拾させる。異変の元凶となった三坊猪熊町の荒神を信仰対象として祭り…その防人に任侠若頭の金慈を任命した。それは、彼への時雅の配慮と悪神でも強力な神は利用すべきと考えた夫婦神の提案でもあった。
それから約ニ~三週間が経過した頃に時雅と乃威、伊弉諾は、結界の修復の為に奈良の吉野山に訪れていた。そこで、彼等は大山積という神と修験者である役小角と出会い霊山の異変を協力して解決しようという話になる。
だが、一方で大山積の力は徐々に奪われているようで…更に朽ちた社で三貴神の一柱である月読尊と出会うも今にも消え入りそうだった。
また今度は、その後の金峯山寺にて行われた修験者達と陰陽寮勢力の会談で、お互いの部下の討論が切欠で陰陽寮と修験者は吉野山の結界を巡り争う形となってしまう。
そして、決戦当日…桜華と時雅達は吉野山の麓付近にて修験者の罠により離れ離れになってしまう。そんな中、時雅に昨日の答えを聞きに来たと役小角が再び姿を現し、時雅は事態打開のために役小角率いる瑞烏天山の修験者の穏健派と協力することになる。
すると、空に黒い靄が散見したかと思うと修験者の一部が人を遥かに超えた力を振るい暴走し始める。
その影には瑞烏天山の穏健派とは違う革新派と言われる修験者の存在があり、陰陽師勢力と修験者勢力の争いは激化していく――
(今回のあらすじ)
瑞烏天山の革新派が吉野山の根本となる霊脈を自分の都合の良いようにしてるのを何とかしようということなり、その過程で協力者である瑞烏天山の穏健派の修験者から吉野山の結界は仏教の十二天曼荼羅を参考していると言われる。その事が判ると、直ぐに陰陽寮は反撃体制を整え始めて、時雅は結界と霊脈を正常化させるには切っても切れない月読尊の信仰と霊力を戻すため、彼に神靈移しを提案するが説得に難儀する。その後、何とか受け入れてくれた月読尊と異変解決のために、ある客神と協力して革新派が目的を達そうした本当にギリギリのとこで止めることに成功するのだった――